Underground
Thelonious Monk
セロニアス・モンクというピアニストはモダンジャズ界きっての変人で、いわば個性のカタマリ、完全なるオンリーワンの存在です。
不協和音を出したり、わざとタイミングをずらしたり、変てこなメロディーを弾いたり、その独特の音楽世界は好き嫌いがハッキリと分かれる、とてもクセの強いものです。
それが故に、一度モンクにハマると簡単には抜け出せない。「モンクしか認めない」という狂信的な信者も存在します。
演奏だけでなく見た目も個性的。スーツに似つかわしくない毛糸の帽子をかぶり、ピアノを弾く右手の小指には大きな指輪をはめ(演奏しづらいだろうに・・・)、無表情で訥々とピアノを弾いていたかと思うと、突然ピアノから離れステージ上をウロウロしはじめる。
そんな変人、セロニアス・モンクのことが、ぼくは大好きなのだ。
モンクは単なる変人ではなく、ジャズの求道者だった。
まるで修行僧のようにストイックに己とジャズに向き合い、自分にしか出せない音、自分にしか作れない音楽を追求し続けた。
ただそこに立っているだけで、ジャズを感じさせた。
モンクは言った。「天才とは最も自分らしい人間のことだ」と。
そんなモンクの音楽は誰にも似てなくて、とても変わっています。でも、決して難しくはありません。ヘンテコリンだけど意外なほどにポップで、キャッチーなんです。だからジャズ初心者にも聴きやすいと思いますよ。
モンク後年の作品「アンダーグラウンド」は、モンク作品の中でも特に聴きやすいアルバムです。
彼の代表作としてよく挙がるのは「ブリリアント・コーナーズ」や「セロニアス・ヒムセルフ」だけど、これらは初心者にはとっつきにくい。
「アンダーグラウンド」のほうがずっと聴きやすいです。ジャケットも最高でしょ(グラミー賞の最優秀アルバム・カヴァー賞を獲得)。
ちなみに村上春樹氏もモンクのことが大好きで、このアルバムのことも気に入っているそうです。
彼が初めてDJをしたラジオ番組・村上RADIOでも、1曲目の「Thelonious」をテーマソングとして使用していました。
- Thelonious Monk(p)
- Charlie Rouse(ts)
- Larry Gales(b)
- Ben Riley(ds)